デザインコンペの質を120%に上昇させるために必要な3つの準備

既存店の全面改装や旗艦店、新業態などでデザインコンペを行いたいと考えている企業も多いのではないでしょうか。しかしデザインコンペは、店舗開発にもデザイナーにもかなり手間のかかる作業ですので、事前の準備をしておくことは非常に大切です。そうすることでデザイナーは100%の力を発揮でき、また店舗開発担当者もスムーズにプロジェクトを進行することも可能となるのです。それではデザインコンペではどのような準備をしていけばよいのか見ていきましょう。

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図面とペンと電卓

1. 事前準備をすることで生じるメリット

まずは事前に様々な準備をした際に生じるメリットを見ていきましょう。メリットをしっかりと理解していけば、事前に資料を作成することの大切さがわかり、日々の業務の中での優先順位が上がってくるでしょう。それくらい事前の準備がデザインコンペの質を高めていくことになるのです。

1-1 プロジェクトの進行がスムーズになる

デザインコンペは一社に特命で依頼する場合に比べて、時間がかかるということをまずは頭に入れておく必要があります。

事前の情報が不足していてやり直しが何度も生じてしまえば、最悪の場合工期が遅れることもありえるのです。事前の情報をそういった問題を未然に防ぐことができます。

しっかりとコンペの要件が定まっていなかったり、社内での選定の基準が曖昧だったりすれば、コンペ自体に参加するデザイナーも減ってしまい、デザイナーを探す手間や時間が余計にかかってしまうでしょう。

1-2 デザイン提案の質が上がる

デザインというと見た目の意匠面のようなアート要素にばかり目が行きがちですが、店舗はものを売ることが目的ですので、まずは機能的な面を考えなくてはなりません。実際はデザイナーは施主から与えられた情報を整理して、最低限の機能を加えた上で意匠面のデザインをしていくのです。ですからデザインをする段階で、どんな商品をどれくらいの量でどのように売るかを決めておかなければならないのです。

1-3 依頼会社を判断する軸が明確になる

デザインコンペでは、はじめの段階で会社決定の軸を決めておく必要があります。どのデザインにも一長一短があるため、事前に定まっていない部分が多いと、プランを選ぶのに苦慮することになるでしょう。
またデザイナーにとっても自分が考えなければならない範囲が広くなり、分析する時間がかかってしまうのです。

何をもって評価されるのかが明確になれば、デザイナーは負けた後でも後味が悪くないのです。

2. 具体的に準備すべきもの

おしゃれなカフェ

それでは実際にどのようなものが求められるのかを見ていきましょう。デザイナーとの初回の打ち合わせまでに準備して、資料として渡すことができればベストです。

2-1 コンペ開催概要

スケジュール

プロジェクト全体のスケジュールを提示しましょう。デザインコンペの提案までのスケジュールだけではなく、その後詳細を詰める時間がどれくらいあるのか、その後オープンまでのスケジュールを提示するとよいでしょう。またSCへの出店であれば、館側への図面提出することになるので、その時期も明記するようにしましょう。

設計料、コンペフィー

施主の要望で設計料の見積を提出内容に含めることがありますが、これは避けたほうがよいです。会社を選定する際に軸がぶれてしまうからです。またプランが出揃った後に、どれだけデザインがよくても結局金額の安い会社に決まりがちなのです。安かろう悪かろうというわけではありませんが、金額で最終的に依頼する会社を判断するというのでしたら、はじめからデザインコンペをする必要がありませんし、提案する側のモチベーションも極めて低くなってしまうのです。

基本的には自社の過去の事例を見て設計料を決めていくのが良いでしょう。もしも設計料の基準がわからないのであれば、専門家と相談して適切な金額を決めるようにしましょう。

またコンペフィーは可能であれば、出したほうがよいです。デザインコンペは作業量は多いですが、負けてしまえばデザイナーが得られるものがありません。そうすると優秀なデザイナーであればあるほど、コンペに参加するのに消極的になってしまうものです。

2-2 デザインするのに必要なもの

おしゃれな本棚

実際には言葉で伝えたほうがよいものも多くありますが、一度考えておいたほうが実際にデザイナーに伝える際にブレが少なくてよいです。

商品の販売方法

新しく店舗を出す際には、どのような商品を、どれくらいの量、どのように販売するのかをあらかじめ想定しておかなければなりません。同じアパレルの店舗でも、一点ものを販売するセレクトショップと棚に平積みされているファストファッションの店舗では、商品の販売の仕方は大きく異なり、それに合わせて店舗デザインを考える必要があるのです。

またどのように販売するのかによって、必要な設備や機能も決まっていくでしょう。アパレルであれば、ストックの量やフィッティングルームの数、飲食店であれば、必要な厨房機器や席数などを明確に提示できるようにしておきましょう。

図面一式、設計指針書

こちらは実現可能性のために、管理会社に確認して事前に用意しておく必要があります。図面を用意する際には、平面図だけではなく天井伏図も用意しておきましょう。また設備図や工事区分表は、デザインする際には直接的には関係ありませんが、これがあるだけでプランの実現可能性がぐっと上がるので用意したほうがよいです。

他の物件にも言えることですが、特にSCは工事規制が厳しいです。設計指針書の該当箇所をしっかりと確認しておくとよいでしょう。

図面が揃っていない場合には、いざ詳細に調べ始めたら想定と違って、予想以上にコストがかかったり、やり直しが発生してしまう場合もあるので、図面や必要資料はしっかりと準備するようにしましょう。

既存店の資料

今現在店舗を運営されている企業であれば、既存店の図面を用意したほうがよいです。企業はそれぞれ商品の陳列の仕方や動線の考え方といったこだわりを持っていて、それが図面に既存店の図面に現れているのです。ですから既存店の図面を分析することで、そういったこだわりを理解して、効率よくデザインをすることができるのです。

2-3 提出内容

笑顔でMEMOを取る外国人

デザインコンペの際に提出する内容ははじめに統一するようにしましょう。

デザインコンペでは最初のプランの段階で完璧に仕上がってくることは難しいので、一緒に店舗を作り上げていくデザイナーを選ぶのが目的となります。結局仕様を細部まで詰めていくのは依頼するデザイナーが決まってからになるので、デザイナーを選定する上で必要な情報を最低限にするようにしましょう。その方がよりしっかりと要望を反映することができるのです。

またデザイナーにとってもどれくらいの作業量か把握できるので、コンペの参加の是非を判断する材料にもなります。

デザインの提案までに時間があまりない場合は、必須項目と希望項目にわけるとデザイナーもより取り組みやすくなるでしょう。

デザインコンペの提出内容例

  • デザインコンセプト
  • 平面図
  • 展開図
  • イメージパース
  • マテリアルサンプル
  • 模型

3. まとめ

新業態や旗艦店のように、デザインコンペを行う場合は、社運をかけている店舗であることも多いでしょう。必ず失敗したくないコンペだからこそ、事前にしっかりと準備をしていくことが非常に大切なことなのです。

依頼するのは優秀なデザイナーであるかもしれませんが、店舗を実際に運営していくのはあなた自身です。デザイナーに任せっきりにするのではなく、店舗の運営方法を考えぬいて、こだわりをしっかりとデザイナーに伝えるようにしましょう。

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