1. コンペは無料が当たり前?
日本ではアイディアや情報といった知的財産は無報酬で得るものであるとの認識があり、それは内装業界でも起きています。したがって店舗デザインのコンペを開催する際に、コンペフィーを支払うことはほとんどの場合ありません。
多くの若手デザイナーが挑戦の場として赤字覚悟で積極的にコンペに参加をしていたり、大手クライアントとの継続的な付き合いをしていくために営業活動の一環としてコンペに参加したりしているのです。
そのこと自体は悪いことではありませんが、結果的に「コンペフィーがなくてもコンペが開催できる」と発注者に対して主張していることになってしまい、それが悪循環の原因ともなってしまっているのです。
2. コンペフィーを支払う3つのメリット
クリエイティブな仕事に対して然るべき報酬を支払ったら、その分大きなメリットがあります。コンペフィーを支払うメリットを見ていきましょう。
2-1 優良なデザイン事務所と出会える
コンペフィーを支払うことで優良なデザイン事務所と出会うことができます。
やはり人気のあるデザイン事務所になればなるほど忙しくしている場合が多く、普通に仕事を頼んでも断られてしまうでしょう。さらにデザインコンペともなると仕事の困っていない事務所にとってみれば、仕事が受注できる確率が100%ではないプロジェクトに参加するメリットがありません。ましてやコンペに負けてしまった場合は、コンペに費やした時間的コストがマイナスになるというデメリットさえあり、なおさらコンペ参加に対するモチベーションは低いのです。
優良なデザイン会社は当然報酬の有無以外にも、デザインへの理解のある会社と付き合っていきたいと考えている会社も多いため、その意思表示をすることは非常に大切なのです。
2-2 デザイン提案の質が上がる
発注者にとっての一番のメリットとなるのは、提案の質が上がることではないでしょうか。
デザイン事務所はたとえ優良企業であっても、数人しか所属しないような個人の事務所の場合が多く、一部の会社を除いて企業体力があまりありません。
そのためデザイナーは、なんとか獲得したいプロジェクトや今後つながっておきたい企業のコンペであっても、受注できるか保証のないコンペに対して全力のリソースをかけることはできないのです。そのため十分に内容の詰まっていない提案があがってきたり、3Dパースを作成せずに簡単な手書きのスケッチの提案で終わってしまう場合が多くなり、コンペそのものの質が下がってしまうのです。
2-3 デザイナーの才能が発揮されやすい
コンペフィーがないコンペの場合は、どうしてもデザインが丸くまとまってしまう傾向にあります。というのも前述したようにデザイン提案が採用されなかった場合は、そこにかけた分の時間的なコストを回収することができません。
ですから施主が尖ったデザインをオーダーしたとしても、施主に気に入られるために要望を深読みして必要以上に既存店のデザインを踏襲してしまうのです。
コンペフィーを支払いデザイナーがかけた分のコストを回収することができれば、デザイナーが自分の個性を発揮することができるのです。
4. コンペフィーの相場はいくらが妥当か
コンペフィーを支払うと決めた企業にとって、気になるのはその金額でしょう。一体いくらがコンペフィーとして妥当な金額といえるのでしょうか。
設計料と同じように業種業態や物件の面積によってデザイナーの作業時間が異なるため明確に定めることはできません。コンペフィーを設計料の10%程度に設定している場合が多く、店舗の場合は平均するとコンペ参加社数あたり10-20万円程度が妥当のようです。
SHELFYにはこれまでデザイン会社を通して内装デザインを行った施主様を100件以上見てきました。相場を詳しく聞きたい方やその他ご質問がある方はお気軽にご相談ください。
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5. まとめ
コンペフィーを支払うことになれてなく、抵抗がある人も多いでしょう。しかしコンペフィーをしっかりと支払うことで、レベルの高いコンペを開催することができ、長期的な利益へとつながるのです。次にコンペを開催する際はぜひ利用してみるとよいでしょう。