新規の施工会社は入札に不利?仕組みを詳しく解説

出店が多くなってくると既存の施工会社だけで、全ての店舗をまわしていくことが難しくなってきます。そこで新たなパートナーを求めて、新規の施工会社に入札の声掛けをすることがあるでしょう。しかし結局金額が既存の会社よりも高くて、新規のパートナーとの付き合いをなかなか広げられていない企業も多いのではないでしょうか。ここでは新規の施工会社を増やすための方法をお伝えしていきます。

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1. 競争入札は新規の施工会社に不利な仕組み

新規の見積りを依頼する際に、既存の施工会社と同じようなフローでお願いしていないでしょうか。まず大前提として認識しておかなければいけないのは、既存の業者と同じフローで依頼すると新規の施工会社は入札に負ける確率が高いということです。

新規の施工会社は既存の業者に比べて、多くのハンデを背負っているので、店舗開発担当者は入札が可能な限り平等になるように努力する必要があるのです。

2. 施工会社の立場になって考える

施工会社は数百万〜数億という非常に大きな金額の工事を受注しますが、実際の利益率は一般的に10%程度と言われており、これは決して高い数字と言えません。

施工会社は元請けとなって専門業者に工事を発注したり必要な資材を発注したりするため、実際にはほとんど手元に残りません。ですから専門業者の手配、資材の購入の過程ででミスや工事のやり直しが生じてしまうと、利益はあっという間になくなってしまうのです。

3. 新規の施工会社が入札で不利な理由

悩んでいる女性

それではなぜ新規の施工会社が入札に不利と言われているのか見ていきましょう。

3-1 求められる工事の質が違う

仮に設計図面が同じものであったとしても、実際にできあがる店舗の仕上がりは多少異なります。なぜなら企業によって求める工事の質が異なるからです。細部の納まりの質を求めていくとかなりの手間がかかってきますが、そういった手間は見積りに計上されてしまします。

とはいえコストを抑えるために納まりの部分を妥協してしまうと、実際に店舗が竣工した際に工事の質が悪いと言われて、二度と入札には呼ばれなくなってしまうことにもなりかねません。ですから新規の施工会社は、施主がどの程度の工事品質を求めているのかをわかっていないので、質を担保して高めの見積りを出さざるをえないのです。

3-2 コミュニケーションロスが多い

店舗開発担当者ができる見積りの金額を下げる一番有効な方法は、見積りの時間を長くとることです。施工会社は図面を分析する時間が十分にあれば、図面上に現れていないリスクを軽減して見積金額を安くすることができます。

しかし新規の施工会社の場合は、店舗づくりに対しての理解がないので、担当者同士の間でコミュニケーションのロスがどうしても発生してしまいます。ですから仮に既存と新規の施工会社に同じ見積期間を与えたとしても、新規の施工会社の方がスケジュールがタイトに感じてしまうのです。

3-3 既存業者のスケールメリット

施工会社は何度か同業態の店舗を担当していけば、工事の内容が次第にわかるようになります。同業態の店舗であれば、利用する資材は大きく異なることはあまりないでしょう。ですから施工会社は、ある程度の受注を見込める場合には、同じ店舗で利用する資材を大きなロットで購入することができるのです。そうすればロットごとの単価が下がり、全体の工事金額を下げることができるのです。初めて入札に参加する会社は、そこまでのリスクを負うことができないので、相対的に高くなってしまうのです。

4. 新規の業者を入れるために施主がすべきこと

図面を手にする内装会社

ここまで見てきたように、新規の施工会社が入札に勝つためには、多くのハンデを乗り越えなければなりません。

ですから店舗開発担当者が新規で付き合っていく会社を増やしていくためには、新規の施工会社でも既存の業者と同じスタートラインに立てるようにしていく必要があるのです。それでは実際にどのようなことができるのか見ていきましょう。

4-1 既存店の資料を用意する

見積金額を算出するためには、既存店の図面や過去の見積書を読み込むことが、非常に有効な手段となります。施工会社は図面を参照しながら見積の項目を分析することで、施主が求めている工事の質や工法を理解することができるのです。入札に初めて参加する会社は過去の店舗に対する情報が相対的に少ないので、店舗開発担当者はこの差を埋める努力をしてあげる必要があるのです。

また店舗を実際に見せるのも非常に有効な手段です。実際の店舗を見ることで、図面ではわからないような詳細な工事の品質や工法を知ることができます。店舗に対する理解を深めていくことで適切な見積りへとつながるのです。

4-2 設計者とのコミュニケーションを円滑にする

見積期間でのコミュニケーションを円滑にするためには、施工会社と設計者が直接コミュニケーションを取ることが大切です。設計図面は設計者によって、その詳細度や癖が異なるため、図面だけでは判断できない情報が出てきます。また支給品や別途項目なども企業によって異なるので、初めて入札に参加する会社は項目の抜け漏れを起こしやすいのです。

そのため店舗開発担当者は、設計者と施工会社が円滑にコミュニケーションを取れるようにして、少しでも不安を取り除いておく必要があります。しっかりと設計者に入札説明会を取り仕切ってもらい、質問をしやすいような体制を作っておく必要があります。施工会社の疑問箇所は同じ。入札に参加する施工会社全社に質問と回答を共有するようにしましょう。

4-3 小規模なプロジェクトからスタートする

多くの会社が行っていることかもしれませんが、既存店の修繕などの細かなメンテナンスから入っていくのも非常に効果的です。実際の店舗がどのようになっているのかを知ることができれば、新規出店や改装する際に図面を分析するスピードが上がり、見積もる際のリスクを最小限にすることができます。

また店舗開発担当者にとってもメリットがあります。新規の業者に対して内装工事を依頼するには、少なからず工事の品質が不安になるでしょう。そういった際に規模の小さな工事を依頼することで、その会社の工事金額に対しての品質の良し悪しをはかることができます。ついつい見積金額が安いと依頼したくなってしまいますが、安かろう悪かろうにならないために、新規店舗の工事を依頼する前に事前に品質を確かめておくとよいでしょう。

5. まとめ

新規の施工会社を入れたいと思っていてもなかなか見積金額が合わなくて、実際に発注に至らなく結局既存の施工会社への依頼が続いている企業は多いのではないでしょうか。

新規で入札に参加する施工会社は、情報が少なく不利な立場であることが多いのです。ですから店舗開発担当者が様々な情報を提供することで、ようやく既存の業者と同じスタートラインに立つことができるのです。

しかし忘れてはならないのが、見積の期間をしっかり取るということが大前提であるということです。見積の時間が十分に取れなければ、施工会社は結局リスク分を考慮するしかなくなってしまうのです。
新規の施工会社をお探しでお困りであれば、一度自社のやり方を見なおしてみてはいかがでしょうか。

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