内装工事の仕組みを徹底解説!業界理解で理想の内装を作る。

店舗を新規に出店するには、内装工事は必要不可欠なものです。しかし一口に内装工事と言っても、関わる人や専門的な知識が多く、全てを理解するのは非常に困難と言えるでしょう。そこで、ここでは実際に内装工事を依頼するなら知っておくべき内装工事のフローやかかる費用を徹底解説します。

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1. 内装工事を知る

店舗を新規出店をする際には、使い勝手をよくしたり、設備を整えるために内装工事を行う必要があります。しかしなんとなく使ってしまう内装工事という言葉は、その定義や意味する範囲が非常にあいまいです。ここで、一度整理をしていきましょう。

1-1 内装工事とは

内装工事とは建物の内部の工事のことを指しますが、使う場所や環境によって様々な意味として捉えることができます。いわゆる床・壁・天井といった表層部の工事を指す場合もありますが、店舗で使用する際は電気・水道・ガスなどの設備工事を含めて使用されることが多いでしょう。

1-2 内装工事と建築工事と違い

内装工事と建築工事との違いは建物をゼロから立てるか否かです。内装工事の場合は、ビルや商業施設といった建築物の内部の工事を行うことを指します。建築工事と内装工事では、工事業者も違う場合が多いので、意味を混同しないようにしましょう。

2. 内装工事に関わる会社

店舗づくりはオープンまでに非常に多くの会社と関わります。内装工事だけでも平均して10-20社が関わっているのです。それぞれが専門領域の違うプロフェッショナルであり、それらの会社の力が結集して、内装工事は成り立っています。

内装工事に関わる会社には、どのような会社のタイプあるのかを知り、業界の構造を理解することができれば、店舗づくりをよりスムーズに進めていくことができるでしょう。

ここでは、それぞれの会社ごとの役割を見ていきましょう。

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2-1 デザイン設計会社

デザイン設計会社の仕事は大きくデザイン設計業務と設計監理業務に分けることができます。

デザイン設計業務では、施主からの要望に沿って意匠デザインやレイアウトを考え、それを図面に落とし込んでいきます。設計監理業務では、自分の設計図面の通りに内装工事を行っているか施工会社の働きをチェックします。

時々デザイン設計会社に対して内装工事の見積を求める出店者がいますが、本来の役割ではないので大枠の数字をつかむことしかできません。詳細な見積が必要であれば、施工管理会社に依頼するのが良いでしょう。

2-2 施工管理会社

一般的に施工会社と言うと施工管理会社のことを指す場合が多いです。

施工管理会社は設計書を元に、内装工事に必要な人材や資材を集めて期限内に工事を終わらせるのが仕事です。資材の入手経路を豊富に持っていること、優秀な専門業者を抱えていること、現場での工程管理能力が優良会社の条件と言えるでしょう。

施工管理会社は行政からの許認可として、1500万円以上を扱える一般建設業許可と4500万円以上を受注できる特定建設業許可を持っている場合が多いです。予算希望に合わせて依頼する会社を決めていきましょう。

2-3 専門業者

専門業者は実際に内装工事現場で手を動かす職人と呼ばれる人たちのことです。施工管理会社の指示に従って電気、ガス、什器、クロスなどの様々な専門的な工事を行います。

特殊な工法を得意とする専門技術を持っている会社は、施主や設計の指名を受けて工事に参加する場合もあります。

3. 内装工事のフロー

内装工事は関わる会社が多く、それぞれのやり取りに専門的な知識を必要とするため、相当数の出店を経験しなければ全体フローはつかめないでしょう。

依頼する会社の選定方法から、竣工・引き渡しまでのフローを整理し、その時々で何を注意すべきかを解説していきます。

3-1 スケジュール

新規出店を計画するのに、オープンまでのスケジュールを逆算してくと良いでしょう。それでは逆算するためには、何にどれだけの時間がかかるのかを知っておく必要があります。他社が複数関わる内装工事では、出店者の都合に合わせてプロジェクトを進めることができないからです。

一般的な店舗であれば、遅くてもオープンの3-4ヶ月前には内装工事会社に依頼をする必要があります。内装工事会社によって進め方やスピード感は違うので、その点を留意しておくと良いでしょう。

参考スケジュール

初回提案 2-3週間 設計会社に要望を伝えて、デザイン・レイアウトの提案をしてもらいます。
プランの詰め 1ヶ月 初回提案に対して設計者と議論を交えながらプランの修正をしていき、徐々に詳細を詰めていきます。
見積算出 2-3週間 プランの詳細が決まったら、完成した図面を元に見積を取ります。
工期 物販:2-3週間

飲食:1ヶ月

施工会社と工事契約を結び、実際に工事を行っていきます。

3-2 デザイン設計会社の選定

オープンまでのスケジュールを立てたら、デザイン設計会社を選定していきます。デザイン設計会社の選定で一番大切なのは、店舗のデザインやコミュニケーションで店舗の完成をイメージをさせてくれる会社を選ぶことです。選定の方法には主に2つのパターンあります。

特命

1社を単独で指名して依頼するすることを特命といいます。過去の実績やデザインの特徴、得意業種、人柄などを見て依頼する会社を決定します。

密にコミュニケーションを取りながら徐々にプランをブラッシュアップできますが、他社と比較しないリスクがあるので、プロジェクトを進めていく間に思ってたのと違うということもありえます。

コンペ

統一した条件を元に複数の会社からデザイン提案をもらう方式です。複数の案を比較検討できる安心感はありますが、コンペに参加しないとしている会社もあり、本当に依頼したい会社に頼めない可能性もあります。また、コンペ開催には主催者側にかなりの手間が必要で、特命の場合と比べてプランについて詰めていく時間が十分に取れないことも留意しておきましょう。

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3-3 施工会社選定

施工会社はデザイナーと付き合いのある会社を紹介してもらうことが多いです。デザイナーが紹介してくれる会社はスピード感が早く、仕上がりが非常に良い場合が多いです。しかし競争原理が働かないために、金額に対して甘くなってしまうという構造的な問題があります。質やスピードよりも金額を重視して抑えていきたいのであれば、信頼のできる2-3社で相見積を取り他社と比較すると良いでしょう。

また設計も施工も一括でこなせる「設計施工会社」にまとめて依頼すると、金額を落としかつスピード感を持っての店舗づくりが可能です。

もしも依頼できる設計・施工会社がみつからない場合、SHELFYでもご紹介が可能です。必要の際はお気軽にお声がけください^^
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3-4 内装工事契約

依頼する会社が決定したら内装工事契約を結びます。契約の際に注意すべき点を見ていきましょう。

まず追加工事や別途工事があいまいなまま判を押しては絶対にいけません。後から足りないものが出てきた際に、思わぬ形で追加費用を請求されることになりかねません。また竣工後のサポートにも目を配りましょう。アフターフォローや保証期間の記載がされているのかチェックしてください。

内装工事契約はしっかりと確認しておかなければ、後々思わぬトラブルになりかねません。オープンが迫っているからと焦らずにし、必要であれば事前に専門家に相談するようにしましょう。

3-5 工期中

内装工事契約書にサインをするといよいよ着工です。

工期中は必ず時々現場に行くようにしましょう。内装工事は設計書に全て描かれているのではなく、素材の色や塗装の仕上がりのように現場で調整していくものも多くあります。出店者が現場に出ることを怠れば、現場の判断で細かい仕様を決定していくことになるのです。そうなると完成した時に思ってたのと違うとなり、納得できないままオープンを迎えることになりかねません。

3-6 竣工・引渡し

内装工事が終了したら竣工検査に立ち会い、引き渡しを完了しましょう。床や壁などに汚れや傷がないか、水道・ガス・電気といった設備面や什器の使い勝手に問題がないかをチェックしていきます。残工事、駄目工事、追加工事がある場合はスケジュールや支払いを確認していきます。

お店の営業に必要なもの全てに問題がないことを確認し、書類にサインをしたら引き渡しが完了し、あとはオープンに備えるだけです。

4. 内装工事の費用

内装工事を行う上で一番気になるのは、やはりお金の話ではないでしょうか。数百〜数千万円規模で動くので、お金の流れを理解しておかなければ、損をしてしまうことになりかねません。正しいお金の使い方を学んでいきましょう。

4-1 内装工事費の決まり方

内装工事では「とりあえず見積をだしてください」という問い合わせが本当に多くあります。どれくらいの金額になるのかを知りたいという出店者の気持ちはわかりますが、内装工事会社にとっては非常に難しい注文なのです。

その理由は店舗は一件ずつオーダーメイドで作られるからです。内装工事は使用する材料や工法の組み合わせが無限に存在します。出店者の求めるグレードによってどの組み合わせを選ぶか異なるため、工事金額にも大きな差が生まれるのです。

予算を言わずに依頼すると内装工事会社が、「これくらいの金額なら出店者も納得するだろう」という金額を決め打ちしなければならず、出店者からしたら思ったより高いということになりがちなのです。

4-2 予算の作成

内装工事では、正しい予算を定めていくことが非常に大切です。

予算を決めないまま計画を進めてしまうと、いざ見積が出てきた際に金額感が合わないということもありえます。そうすると内装工事会社に再度プランを提案してもらう必要が生じて、時間も人件費も余計にかかってしまうのです。

内装工事費は最低限必要な設備や機能面での費用と意匠デザイン面での費用で構成されています。予算がない場合は意匠デザイン面を削っていくことが必要になります。

また、多少デザイン性を求める店舗の場合、平均で物販店は坪40-50万円、飲食店は坪60-80万円程度ですので、それくらいの金額を予算の目安とすると良いでしょう。坪単価は広さによって大きく異なってきますので、あくまで参考値としてください。

どうしても予算を作成するのが難しい場合は、自分の作りたいという店舗のイメージ写真を内装工事会社に見せて、どれくらいの予算感が良いのか相談すると良いでしょう。

4-3 見積書の比較

見積書は各業者によって書式や工事項目の名称などがバラバラです。ですから、提出された見積を比較するには工夫をしていかなければなりません。自社で工事項目や工事箇所をそろえて見積比較表を作ることで、比較検討を簡単にすることができます。額面だけだと一番安い会社であっても、項目をそろえて比較したら漏れがあった、ということもあるでしょう。

4-4 支払い条件

内装工事の支払い条件は必ず分割にしましょう。

内装工事会社は資材の発注や人材の手配が必要となり、着工時に費用が発生します。一方で出店者は、竣工後のアフターメンテナンス、残工事の対応が滞るリスクを抱えています。支払いを分割にすることで、どちらの会社もリスクも取らなくてすむのです。

また一般的には、着工時に半金、竣工時に半金というケースが多いです。プロジェクトが期間が長期に渡る場合は内装工事会社に要相談しましょう。

4-5 ABC工事

ABC工事はショッピングセンター・共同店舗等に出店する際に必ず耳にする言葉です。工事金額を下げるには、この構造を理解している必要があります。

以下の表でABC工事を解説してます。ただし工事の区分けは、各ビルやショッピングセンターごとに異なるので、工事区分表を手に入れてしっかり確認する必要があります。

費用負担 施工業者 工事対象例
A工事 ビルオーナー ビルオーナー ビルの構造躯体、エレベーター共用部、共通通路
B工事 出店者 ビル側指定業者 施設・安全性・工程に影響を与える可能性のある設備
C工事 出店者 出店者側指定業者 区画内の内装工事

価格を下げるポイントとなるのがB工事です。B工事は費用負担が出店者なのに対し、出店者が施工業者を選ぶことができず、工事をビルの指定業者が行います。そのため、金額をコントロールすることが難しく、その工事項目だけ見積が予想の2-3倍になることもありえるのです。工事区分を交渉してB工事の項目を減らしていくことで、見積の金額を下げることができるのです。

参考A工事・B工事・C工事の違いとは?工事区分表と内容を徹底解説

5. まとめ

内装工事にかかる費用は新規出店に占める金額の中でも非常に大きな割合を占めます。

ですので内装工事の仕組みや流れを理解することは非常に大切となるのです。

正しい知識を持っていれば、安価な値段でデザイン性の高い店舗を作ることができます。

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