前テナントについて
撤退理由
居抜き物件を検討するうえで忘れてはいけないのが、一度開業し、撤退を決めた店舗であるということです。前テナントが撤退した理由についてはお店のオーナーや不動産会社に必ず尋ねるようにしましょう。
一番多い撤退理由は「経営の悪化」によるものです。こういった物件で同業態で開業する場合は、よほど綿密な戦略を立てなければお店の成功は難しいでしょう。全くの異業態としてオープンする、異なったターゲット層を狙うといった勝算がないのであれば、コストがかからないことだけを理由に出店するのは控えるべきです。
逆に撤退理由が「経営の悪化」以外の事情で、「やむなく手放す」というものであればラッキーだと言えるでしょう。しかしいずれの場合にしろ、自分が開業する前に前テナントのオーナーがぶつかっていた課題や障壁を分析し、自分はそれをどのように乗り越えられるのかを考えることが大切です。
ご近所の評判
居抜き物件のメリットはなんといっても設備をそのまま引き継ぐことができることですが、前のお店の評判や噂もそのまま引き継ぐことになるのをお忘れなく。同じ業態で開業する場合はもちろん、イタリアン→フレンチや美容院→エステサロンといった前テナントと似た業態の店舗で開業する場合も、集客に響いたりします。
また評判のいいお店であった場合でも、前のお店のイメージが強すぎて開業するお店のコンセプトがうまく伝わらなかったり、お店が変わったことを訴求するための看板・外装のリフォームに思っていたよりも費用がかかってしまうなんてこともあります。居抜き物件で開業する際には、前テナントからのイメージをガラッと変えたことが伝わる工夫が重要です。
目に見える箇所
内装・外装
居抜き物件を内覧する際には「どこを変えて、どこを活かすのか」を考えながら内覧するようにしましょう。 居抜き物件のメリットである「低コスト・短工期」を最大限に活かすのであれば、厨房の区画はそのまま使うことを基本で考えるべきです。
また前述した通り、前テナントのイメージを一新するためにもお店の第一印象を決める外装はぜひともこだわりたいところですが、大がかりにしてしまうと工事費用がかかってしまいます。 色を塗り替える、一部分に装飾を加える、一部を撤去するといった変更などは比較的費用を抑えながらもイメージチェンジができるのでおすすめです。
機器
どのような業態であっても業務用で使う機器は高額なものが少なくありません。しかし、機器には耐久年数というのがありオープンして数年以上経ったお店だったりすると、「オープン直後に壊れてしまった」「撤去して処分することになったはいいものの、解体費用が、、」なんてトラブルも少なくありません。
そんな事態にならないためにも、動作状況(電源を入れてみる)や性能(実際に使ってみる)の確認はもちろん、外傷や匂い(とくに冷蔵庫の中など)なども忘れずにチェックするようにしましょう。
目に見えない箇所
インフラ設備
お店づくりというと外装や内装を一番に考えてしまいがちですが、実は最もお金がかかるのがインフラ設備です。必要なインフラ設備が整っているかどうかどうかで、工事費が大きく変わるのでここは重点的に見るようにしましょう。
とくに前テナントから業態が変わるときは注意が必要です。使う火力や電力、給排気量が大きく変わると、設備の新設や容量アップの工事が必要になります。ビル全体の電気の容量が足りないとなると増設工事だけで200~300万円の費用がかかってしまいますし、また水回り、例えばトイレの位置の変更などは50-100万円ほどの費用が必要です。こうった区画が不自然な物件についてはそこに造らざるを得ない事情があったと考え、専門家に見てもらうべきでしょう。
契約内容
内装や設備、業務用機器などはリースを利用するオーナーも多くいるため、必ずリース契約の有無を確認するようにしましょう。リース会社が契約している設備や機器を持ち帰ってしまったり、前オーナーの気が変わって持ち出されてしまったりと、譲渡してもらえると思っていたモノが引き渡し時にはなくなっていたというトラブルが起きがちです。また無事譲渡された場合でも、リースで契約しているモノの残債は誰が払うのかについて揉めるケースもあります。
リースはあくまでリース会社の資産であり、それらは最終的には返却されなければなりません。こういったトラブルを防ぐためには、契約を交わす前に必ず前オーナーと共同で、譲渡品のリストを作っておくようにしましょう。たとえ友人・知人であっても、書面で取り交わすことが大切です。
居抜き物件でかしこく開業するために
譲渡料がかからない、立地がいい、費用が抑えられるからと「早く契約しないと!」とばかりに居抜き物件に飛びつく前に、「自店のコンセプトを本当に実現できる物件か」をもう一度立ち止まって考えてみましょう。
「安さ」に目がくらみがちな居抜き物件だからこそ、「たとえこの物件が居抜きでなく、スケルトンであっても借りるか」という視点で検討することが最も大切です。
また、シェルフィーでは居抜き物件のご紹介も行なっております。
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