
1. 減価償却とは何か?
実店舗型の飲食店、アパレル、ヘアサロンや物販点など、あらゆる店舗を作るには、営業を始める前に店舗を作るお金や商品を仕入れるお金が必要です。まだ営業を開始していないのに、そんなにお金をかけるのはなんだか不安ですよね…!そんな時に必要な考え方が「減価償却」という考えです。
1-1 そもそも減価償却とは?
減価償却とは、何か大きな買い物をした際に、一度にかかる費用ではなく、数年に分けてかかる費用として換算することを指します。
例えば、150万円の金属製のデスクを購入したとします。その期の決算で150万円を計上してしまうと、その期は大赤字になって正確な決算ができなくなってしまいますよね。このような際に減価償却では、150万円を数年間に分割して計上します。
150万円の金属製デスクを15年間使用すると、一年あたり10万円をコストとして計上します。
このように、資産購入にあたって生まれる支出を一定の年数で分割して計上することを減価償却といいます。
1-2 減価償却の目的とその効果
いったい、なぜ減価償却のような会計の方法をとるのでしょうか?一般的に減価償却の目的は、その年度ごとの正確な損益額を算出することにあると言われています。モノは何度も何度も使うことにより耐久性やモノ自体の価値が下がっていきます。そして、一定の期間が通して使用回数が重なるにつれ企業活動できる状態ではなくなり、新しいものを購入しますよね。この期間で購入額を回収したと見なし、それを使用期間の年度ごとに分割して計上することで、正確な損益を計算することができるのです。
2. 減価償却における耐用年数とは?
減価償却の概要について上述しましたが、耐用年数についての理解もとても大切です。この章では耐用年数についての理解を深めて行きましょう。
2-1 耐用年数とは何か
耐用年数とは、減価償却資産が利用できる期間(年数)のことを指します。上の150万円の金属製デスクの例を見てみましょう。
150万円で購入した金属製のデスクを15年間で分割し、年度ごとに10万円ずつ計上していきました。この際の「15年間」が耐用年数となります。つまり、耐用年数とは、減価償却資産が利用できる期間ということですね。
2-2 様々な耐用年数
実は、耐用年数は自分で勝手に決めれるものではありません。多くの場合はその耐用年数は法律で規定されています。下の画像は、建築物の耐用年数の一部です。
住居や商業施設となると、人の出入りが頻繁にあるため老朽化した施設を使うのはとても危険です。そのため、一定の固定資産はその耐用年数を法律で規定しているのです。
新規出店の際は、このような会計的な視点を持っていると、店舗がどのくらいの期間使用できて毎年どのくらいの金額を回収しなければいけないのかがわかるかもしれませんね。また、店舗内装工事の耐用年数屋減価償却の計算方法などは、国税庁の「耐用年数表とその適用に関する取扱通達」で規定されています。建造物だけではなく、工具や備品、設備や椅子・テーブル等に対しても耐用年数が細かく規定されているので見ておくことをお勧めします。備品の買い替えなどのペースなどにも大きく影響するので、要チェックですね。
3. 減価償却を考える際の注意点
「お金の動きと実際の経営がマッチしているか」
減価償却により動くお金と、実際のお金の動きがマッチしているかは非常に重要な視点です。減価償却では、実際に購入したものや資産に支払った費用を、耐用年数で分割し計上します。
ここで注意したいのは、計算は分割であることに対して、実際の支払いは完了しているので、手元にお金はないと言うことです。支出項目にある支出と、手元にあるお金のギャップを理解した上でお金のやりくりをしないと、「本来あるはずのお金が無い!」という自体になりかねません。減価償却はあくまで会計の方法の一つなので、実際のお金がどこにどれくらいあるのかについても把握おきましょう。
4. まとめ
いかがでしょうか?新規出店や店舗の経営に、いつもお金のことはついて回る者です。特に店舗を経営されているかたは、会計的な考え方も身につけておくとお金のやりくりの際に困ることも無くなるかもしれませんね。