フランチャイズとは?今さら聞けない「仕組み」を徹底解説

フランチャイズチェーンという言葉をみなさん一度は耳にしたことがあるの思います。フランチャイズチェーンといえばコンビニ業界だと考える人は多いと思います。しかし名前も聞いたことがあるしコンビニのおかげで何となく知ってるという人が大半で、フランチャイズチェーンについてしっかりと理解している人はどれくらいいるのでしょうか。今回は何となく知っているフランチャイズチェーンについて今さら人には聞けない基本的な部分から説明してきます。

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1. フランチャイズビジネスを知る

悩んでいる女性と三人の男性

1-1 フランチャイズ(FC)とは

フランチャイズ(FC)とは、加盟店が事業本部とフランチャイズ契約を結ぶことで、商標・チェーン名称、商品、ビジネス・経営ノウハウ、技術サポート・研修が全て一体となった「パッケージ」を得ることができるビジネスです。

加盟店はパッケージを利用する権利を得る代わりに、その対価としてロイヤリティと呼ばれる代金を本部に支払っているのです。

アメリカで生まれたケンタッキーフライドチキンが世界初のフランチャイズチェーンであると言われており、日本では1960年代にダスキンや不二家が開始し、現代ではコンビニがフランチャイズチェーンの代表格となっています。

1-2 フランチャイズと直営店の違い

直営店とは、事業本部が直接従業員の雇用から経営まで全て行っている店舗のことです。フランチャイズの場合は個人や他の法人がオーナーである店舗なのに対して、直営店は事業本部が経営を行っているのです。

本部からすると直営店の方がお店の収益がそのまま会社の収益になったり、直接雇用ができるためマネジメントがしやすかったりといったメリットがあります。しかし、スピーディな多店舗展開には不向きといったデメリットも存在します。

2. メリット・デメリットを理解する

コーヒーとスマホとノート

2-1 なぜフランチャイズに加盟するのか

フランチャイズチェーンに加盟すると、ロイヤリティと呼ばれる対価を支払わなくてはいけません。場合によってはお店の利益のほとんどをロイヤリティとして消えていってしまい、最後に自分のところに残る利益はほとんど無くなってしまっているという例もあります。しかし、では、なぜ世の中にはこんなにも多くのフランチャイズチェーンに加盟する店舗が多く存在しているのでしょうか?

それは、ロイヤリティを払うだけのメリットを享受できることがあるからです。そのメリットとは独立開業で廃業するリスクを低く抑えることができることです。日本全国に何千店と展開している企業であれば過去に出店した店舗などのデータから、どのように経営を行っていけば良いかといったノウハウが確立されており、フランチャイズでは過去に経営を行ったことが無いオーナーでもそのノウハウを教えてもらいながらお店を経営することができるのです。

また、大手企業であれば仕入れ等に関しても独自の仕入れルートを確立している場合が多く、その仕入れルートから商品を仕入れることによって原価を低く抑えることができるなどといった利点もあります。

2-2 ロイヤリティは対価と考える

フランチャイズチェーンの最大のデメリットは本部にロイヤリティ支払わなければならないことでしょう。どんなに利益が無くても加盟店はロイヤリティを支払わなくてはいけません。

しかし、ロイヤリティは一方的に取られるものではなくて対価であるということを認識して下さい。

例えば、お店を経営した経験が無く、経営に不安がある人には手厚いサポートを提供したり、自社で開拓した仕入れルートから仕入れ費の安い商品の仕入れを可能にしたり、ブランドの看板を提供するなど、様々なサービスをフランチャイズ本部は提供しているはずです。その対価としてロイヤリティがあるのです。

ロイヤリティという言葉にはどこか搾取する側と搾取される側が存在するというイメージがありますが、対価としてのロイヤリティという認識を持つことが大切です。

ここで、どのようにフランチャイズチェーンのロイヤリティが決まるのか、主な決め方を見ていきましょう。

粗利分配方式

粗利分配方式とは、粗利益のうち◯%をロイヤリティとして本部へ支払う方式で、業態としてはコンビニで多く見受けられます。

売上歩合方式

売上歩合方式とは、売上のうち◯%をロイヤリティとして本部へ支払う方式です。多くの業態で見受けられます。中には、開業後のサポートを手厚く行うなどの理由から高い%を提示する企業もあります。

定額方式

定額方式とは、文字通り毎月支払うロイヤリティの額が一定のものを指します。お店の売上や利益に関係なく、支払い額は一定なので非常にわかりやすいです。利益から定額のロイヤリティを除いたものが全て自分の利益になるわけですから、売上・利益アップへのモチベーションも起きやすい方式と言うことができます。

ロイヤリティフリー

ロイヤリティフリーとは、ロイヤリティを取らないことを指します。見た目上はフリーのように見えても、支給される材料費の中にロイヤリティが含まれているというように、実際はしっかりと回収されていることがあります。ですから、ロイヤリティフリーであるからといってすぐに飛びつくのではなく、しっかりと検討をするように心がけましょう。

見積書や説明の内容を細部まで目を通すことで記載されてます。名目が違うだけで実質ロイヤリティということも大いにあります。

記載項目例:広告販促費、マーケティング費、管理費など(会社によってまちまちです。)

 

2-3 メリット・デメリットを理解して決断する

フランチャイズに限らずほとんどのものに良い点も悪い点もあるものです。

独立の手段としてフランチャイズ契約は初めての人でも事業者からの手厚いサポートがあるため、個人事業主としての開業よりも失敗しずらいという環境が整っています。しかし、高額なロイヤリティが経営を圧迫してしまう可能性も同時にあります。

利益をとるか、あるいは安定をとるのか、自分のスタイルや考え方に合っているかどうかを妥協せずに考え抜いて、納得した上で決断を下さなければいけません。

メリット デメリット
  • ブランド力があり、広く知られている
  • 経営ノウハウが学べ、経験がない人でも安心
  • 過去のデータに基づくため、失敗のリスクが低い
  • 事業者が大量に仕入れるため、安価な商品や材料を安定的に購入することができる
  • 高額なロイヤリティの支払い
  • 事業者の経営方針に従わなければならなく、独自性が出しにくい
  • 指定品以外の商品を勝手に販売できない
  • 休日や営業時間が決まっている
  • 秘密保持義務がある

3.フランチャイズチェーンで成功する戦略を考える

モノクロのチェーン

3-1 フランチャイズチェーンを比較する

フランチャイズチェーンのメリット・デメリットを理解して、出店が決まれば今度は加盟するフランチャイズチェーンを決めていきましょう。

フランチャイズチェーンは、各社が様々な方法で自社の独自色を出しているため、何を比較していくのか悩むところでしょう。どの項目に自分は最も重きをおいて会社を選ぶか自分の中での軸をあらかじめはっきりさせておくことが重要でしょう。

比較すべき項目として以下のようなものがあります。

ロイヤリティと加盟金

一番気になるのはやはりロイヤリティですよね。コンビニ業界では、セブンイレブンが50%を超えているのに対し、ポプラが3%となっています。

加盟金は250-300万円が通常なのに対し、デイリーヤマザキは最低金額が180万円台と安く設定されています。また、ファミリーマートは2019年までは約300万円の加盟金が必要でしたが、現在は開店準備手数料なども廃止され元入金という科目で150万円程度で出店が可能になっております。

ロイヤリティや加盟金はブランド力やサポートの質、企業スタンスによって大きく違うことが言えるでしょう。

サポートの質

ロイヤリティや加盟金で既に各社違いがありますが、一番フランチャイズチェーンの特色が出るのはサポートの内容と言っても過言ではありません。

ミニストップやイオンの系列であれば、「トップバリュー」ブランドの商品が扱え、ファミリーマートであれば「無印商品」ブランドの商品が扱え、ローソンあれば、会計業務を行ってくれるシステムやオーナー休暇制度があります。

他にも、研修制度や独立開業前にしっかりと支援してくれるフランチャイズチェーンもあります。

3-2 事前の知識を得る

フランチャイズチェーンに加盟するには、契約書や負担費用について事前にしっかりと内容を理解しておく必要があります。フランチャイズチェーンはただでさえ、権利を提供している本部側に有利に物事が進みがちです。加盟店側に知識やノウハウがなければ、本部の言うことにただ従うしかないのです。それに加えて、自分で物事を考えて判断・実行することができるとなお良いでしょう。

ここでは、フランチャイズチェーンに加盟する前に最低限知っておかなくてはいけない知識について学んでいきます。各項目に関して注意すべきポイントを押さえて、独立開業後に大きな失敗をするリスクを減らしましょう。

契約書

フランチャイズチェーンに加盟する際には、必ず事業本部と契約を交わさなくてはなりません。この際、必ず全ての項目に目を通し、わからない部分に関しては本部に詳細な説明を求めましょう。内容をしっかりと理解しないまま契約を行ってしまうと、問題が発生した時に自分に不利になるような契約を結んでいることが発覚しても遅いのです。

本部も営利団体ですので加盟店側が有利になっている項目はほとんどありませんが、問題が起こってから慌てるのではなく、事前に知識として知っていれば避けることができる問題もあるので契約書はしっかりと読み込みましょう。

負担費用

フランチャイズチェーンに加盟する負担金のほとんどは、フランチャイズ本部へ支払うロイヤリティです。

ロイヤリティを支払うことはみなさんご存知の方も多いと思いますが、これだけではありません。その他にもフランチャイズへの加盟金や保証金など、ロイヤリティ以外の負担金も存在します。

契約書上では負担が義務化されていないものの、店舗を経営していく上で実際には負担しなければいけない費用が存在する場合もあります。事前に自分が何にいくら負担しなければいけないのかを整理しておきましょう。

自分で考える

店舗の周辺の市場調査や売上の予測など、フランチャイズ本部が行ってくれることがあります。個人では正確な予測が出せなかったり、行う時間があまりなかったりするので、加盟店にとっては非常にありがたいことだと思います。

しかし、本部が提示してきた資料を鵜呑みにすることはしてはいけません。周辺の状況は出店した時から時間とともに変化していきます。そのため、必ず自分でも本部からの情報を元に自分で考える癖をつけておくことをオススメします。自分で考えずに本部の言うことを全て鵜呑みにしてしまって、思うように売上が上がらなくても本部は責任を取ってくれるわけではないのです。

本部からのアドバイスや情報に素直に耳を傾けることはフランチャイズオーナーとしてとても重要ですが、それをそのまま鵜呑みにするということは別問題であるということを覚えておきましょう。

3-3 成功する人と失敗する人

フランチャイズでの経営の特徴として本部からの手厚いサポートがあり、失敗するリスクは個人で開業するよりも低いと言われています。

しかし、これは決して成功を保証するものではありませんし、過去にお店や会社を経営していた人であれば成功するとも限りません。過去に経営を行った経験のある人は、自分の今までの実績や感覚で判断をしてしまいがちです。そのためフランチャイズの仕組みに合わず、本部からのアドバイスを聞こうとせずに失敗してしまうということがありえるのです。また、問題に直面した時に自分だけで抱え込んでしまい、人にアドバイスを求めるのが不得意な人もフランチャイズ経営がうまくいかないことが多いです。

それでは、フランチャイズチェーンの加盟店で成功する人に共通していることはどのような点でしょうか。

それはアドバイスを素直に受け入れ、問題の解決に向けてしっかりと考えることができる人ということが言えます。当然ですが、本部の支持に従っているだけでは、売上は伸びていきません。お店の経営をより良くするために常に改善点を探し、その改善策を考え続けられる人であることが求められるのです。その上で、自分の過去の経験や感覚、プライドなどを無視し、人の話に耳を傾けることができる柔軟な考え方を持ち、従業員たちの雰囲気などに気を配ることができれば、成功は遠く無いでしょう。

特にコンビニ業界であれば24時間営業の場合もあります。そうした場合には営業時間中に自分が常にお店を見れるとは限りません。そのため、アルバイトをうまく育成したり、良い雰囲気つくりを行ったりと売上や利益といった数字的な部分だけではない部分にも気を配ってできると良いでしょう。成功する人は自分のことだけではなく、様々なことに気がついて気配りのできる人であることが多いのです。

また、お店の経営をより良くするために常に改善点を探し、その改善策を考え続けられる人であることが重要です。その上で他者からのアドバイスに真摯に耳を傾けたり、従業員たちの雰囲気などに気を配ることが重要になってくると言えるでしょう。

4. まとめ

フランチャイズビジネスは、過去にお店を経営した経験がなくても、失敗のリスクを最小限に抑えるための知識やノウハウを提供してくれるとても優れたシステムです。

しかし、フランチャイズチェーンに加盟すれば、簡単に成功すると思ったら大間違いです。どのチェーンに加盟するのか、加盟してからどのように成功していくのかは自分で考えていかなければならないのです。

フランチャイズビジネスというシステムを最大限に活用し、自分で納得する店舗経営をしていきましょう。

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