IT化がポイント?建築業界ではなぜ人材不足が起きるのか

2020年の東京オリンピックに向けて建築業界は盛り上がりを見せています。しかし近年肝心の作り手である労働者の数が減ってきており、需要と供給のバランスが崩れ始めてしまっているのです。それでは一体なぜこのような問題は起きているのか詳しく見ていきましょう。

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1. 人材不足はなぜ起きるのか

建築業界は他の産業と比べて就業者に対する高齢層の割合が相対的に高くなっています。10年後には定年を迎える55歳以上の割合が全体の約25%を占めており、今後も高い割合を推移することが予想されます。

一方で若年層の相対的な割合の減少が非常に目立っています。新規学卒者の入職者数は2009年の29万人を底に若干の回復傾向にありますが、引退する高齢層や建築業への投資金額の増加を踏まえると、今後増やしていかなければなりません。建築業界の持続可能な生産体制を確立するためには、若年層の入職促進と長期間の定着を図っていく必要があるのです。

それでは一体なぜ建築業界を目指す若い人が減っているのでしょうか。

2. 健全な競争環境ではない

2-1 質の高い仕事をしていても仕事が集まらない

建築業界の一番の問題は業者の情報が可視化されず、通常の競争環境がないことです。どの会社がよい仕事をして、どの会社の対応が悪かったのかといった情報がどこにもまとまっていないのです。

そのためどんなに質の高い仕事をしている業者であっても、仕事が集まりづらいという状況になっています。また質の低い仕事をしている業者がいつまでも淘汰されないため、ぼったくりが横行してしまうのです。

2-2 世間から正当な評価を得られない

上記でも述べたように情報の集まる場所がないため、世間の人は質の高い仕事をしている業者のことを知る機会が少ない状況です。

また建築業界は近年悪いニュースが非常に多くあります。新国立競技場のコンペやり直しの件やマンションの杭打ち偽装の件を代表に問題が起こりがちで、世間から悪い評価のみが目立ってしまっているのです。

3. 建築業界の構造

3-1 複雑な多重下請け構造

建築業界は元々一つのプロジェクトに対して、元請けの会社と下請けとなる10-20の専門業者が関わる非常に複雑な仕組みになっています。さらに元請業者によっては、受注した仕事を下請け業者に丸投げする場合があるため、多重下請け構造となりさらに複雑さが増しているのです。

このように下請けのさらに下請けというように三重、四重の構造になると、それぞれに発生するマージンによって各社の利益率が減ってしまいます。

3-2 中間搾取で現場の給料が上がらない

多重構造の建築業界では元請けや1次請けの会社が、必要以上に利益を得ようと中間搾取が起こりやすくなっています。そのため多重構造の末端である現場の職人の利益が削られ、どれだけ働いていても給料は上がりにくい状況なのです。スキルが高くても正当に評価してもらえず給料が低いままであれば、建築業界を志望する人も少なくなってしまうでしょう。

4. 慢性的な人材不足の解消のために

建築業界で働くことが若者に魅力的となるためには、以下の順にそって様々な問題を解決して健全な競争環境を作らなければなりません。

  • 情報が集まる場所を作り、よい仕事を広める
  • 質の高い会社に仕事が来て、悪い会社は淘汰される
  • 中間搾取が減り、現場の給料が上がる
  • 若者に魅力的な環境の形成

鍵はIT化の推進

情報を正しく整理して発信してくことは、IT業界の得意としている分野です。まずは質の高い仕事をしている業者を世間に広めていく必要があります。

さらにITによって業務を効率化して、一人あたりの生産量を増やすことも人材不足を補うためには有効となるでしょう。

5. まとめ

建築業界の人材不足は深刻な問題です。この問題を解決しなければ、何かを作りたくても作れない状況になってしまいます。

日本政府や業界関係者は女性やシニア、外国人の登用を試みていますが、根本的な解決方法とは言えないでしょう。若者が目指したいと思える環境づくりが最も重要なことなのではないでしょうか。

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