1. ドライキッチンとは
ドライキッチンとは床を含んだ厨房内部を水浸しにせずに、乾燥させた状態に保っている状態のことを指します。これとは反対に日常的に水を流して掃除できるように防水工事が施されているキッチンをウェットキッチンと呼ぶこともあります。
日本の厨房では営業中であってもキッチンを水洗いすることが一般的でしたが、欧米では清掃する時以外では水を流すことなく常に乾燥した状態を保っています。欧米の場合は最も水を使う仕込みと実際に調理を行う場を分けることで、管理をしやすくしているのです。日本でも近年厚生労働省の指導によりドライキッチンを採用する飲食店も増えてきています。
特にSC(ショッピングモール)や百貨店の店舗はドライキッチンであることが求められます。SCや百貨店には複数の店舗が入っており、悪臭や衛生面での悪影響は施設全体の損害につながるため、最悪の場合退去を迫られることになってしまうのです。
2. ドライキッチンのメリット
2-1 衛生環境の向上
ドライキッチンは飲食店の衛生環境を向上させます。キッチン内部の湿度が低く乾燥しているので、食器や機材のサビを防ぐことができ、またバクテリアなどの雑菌の繁殖を防ぐことができます。さらに側溝がないので、ネズミやゴキブリの侵入や悪臭を可能な限り防ぐことができるのです。
2-2 従業員の負担を軽減
ウェットキッチンでは掃除用で水が流れるように、傾斜を設けている飲食店が多いです。しかしドライキッチンは日常的に水を流すことはなく、傾斜をつける必要がないので足への負担が小さくなります。また常に乾いた状態を保っていることで、滑って転倒する事故を防ぐことができるのです。
3. 防水工事が必要な飲食店の業態
カフェやバーのように火を使った料理をほとんどしないような軽飲食の業態は、床が油で汚れる心配が少ないためドライキッチンとしてもあまり問題ないでしょう。
一方で日常的に火や油を使い床が汚れる重飲食のような業態のキッチンは、比較的掃除の簡単なウェットキッチンとした方がよいでしょう。
4. 飲食店の防水工事をすべき理由
それでは重飲食飲食店が防水工事を行わずに水を流してウェットキッチンのように利用した場合、どのような問題点があるのでしょうか。共通して言えることは、一度水漏れが起きてしまうと取り返しがつかないことです。
飲食店の防水工事は厨房の規模や内容にもよりますが、工期は最低でも1週間、工事費は最低100万円程度は見ておくとよいでしょう。
4-1 発生箇所がわかりにくい
水漏れのような水回りのトラブルは、発生している箇所や原因を特定することが難しいです。ですから即時に対応することが難しいため、漏水箇所が次第に広がってしまうのです。最悪の場合下のフロアへも被害が出て、多額の補償をしなければならいないかもしれないのです。
4-2 営業停止をしなければならない
一度水漏れをしてしまうと厨房機器を一部移動する大規模な工事が必要となります。そうすると飲食店の営業を停止しなければならなくなり、その間の売上をあげることができません。
5. 飲食店の防水工事を依頼する際に気をつけること
5-1 防水保証書を必ず発行してもらう
防水工事を行うからといって安心してはいけません。防水工事が完了して飲食店の営業を開始したとしても水漏れが起きることはあるでしょう。そのような場合にしっかりとした保証書がないと再度の工事金額や補償金を負担しなければいけないこともありえます。
万が一の事態を防ぐためにも防水証明書は必ずもらうようにしましょう。防水保証書を発行できるということは、信頼できる会社と置き換えることができるかもしれません。また保証期間が何年かも契約の前に確認しておきましょう。飲食店の場合は10年であれば安心できる期間と言えます。
5-2 優良な会社を見極める
実際に工事をする会社が優良な会社かどうかを見極めるのも非常に大切です。見積金額が安すぎたり、極端な値引きが行われたりする場合は注意が必要です。他社より明らかに見積金額が安くなるということはあまりありえず、欠陥工事が行われていることが多いのです。
優良な防水工事業者であれば、見積項目を明確に出していたり、時間の短縮などには応じたりすることはあまりないのです。
6. まとめ
飲食店の防水工事は非常に専門性が高く、そのノウハウや知識は一朝一夕で身につくものではありません。必ず飲食店の経験豊富な内装会社に依頼するようにしましょう。