1. 物販店の内装はなぜ重要なのか
物販店の内装は他の業種と比べても非常に重要です。飲食店や美容室の内装のように水道工事や厨房工事といった大規模な設備工事が必要な業種と比べて、物販店の内装はあまり費用がかかりません。
しかしその分物販店の内装は店舗デザインや販売方法、オペレーションなどでオリジナリティを出していかなければ、他の店舗との差が露呈してしまうのです。
2. 物販店の内装デザインのポイント
飲食店や美容室のように位一度入店したら、購入率100%の業種・業態と違い、物販店の場合はウィンドウショッピングだけで何も買わずに去ってしまうお客さんも多いのです。
ですから物販店の内装では以下の3点に気をつけるとよいでしょう。
2-1 ファサードで引き込む
物販店は予約や商品の購入が必ず必要な業種ではありません。ですから物販店は比較的ふらっと立ち寄ることができるというメリットがあるのです。まずは店内に入ってもらわなければ、商品を購入してもらうことはできません。
また物販店は雑居ビルなどに入る機会が少なく、SC店舗や路面店が多いのが特徴です。店舗の顔となるファサードをしっかり作ってあげることで、店舗に入りやすくしてあげるようにしましょう。
2-2 レイアウトで回遊性を高める
物販店の内装ではファサードでひきつけて一度入店したら、すぐに出ないように回遊性の高いレイアウトを考えていく必要があります。
その中で基本的な考えとなるのが左回りの法則です。人間工学的にヒトは左回りを好むと言われており、コンビニやスーパーではほとんどの場合で左回りに店舗内の導線を計画されていると言われています。さらに90%の人の利き目は右なので、右側の棚に購入してほしい商品を並べているのです。
つまりお客さんの目に止まり、来店目的となるような商品を店舗に入ってすぐ右側に配置するというような回遊性を高める仕掛けが大切なのです。
2-3 主役は商品である
物販店の内装をデザインしたことのないデザイナーがよくしてしまうのは、店舗の内装を作り込んでしまうことです。打ち合わせの際のパースの段階では非常に優れたデザインであっても、実際に店舗に商品が入る際に内装デザインと商品のデザインが主張しあってしまい総合的に優れたデザインとはならないでしょう。
物販店の内装は商品が入ったときのことを想定して、少し物足りないくらいがちょうどよいのです。
3. 物販店の内装で考えなければならないこと
3-1 ディスプレイ什器
物販店の内装費用で最も費用がかかるのが、ディスプレイ什器の製作です。ディスプレイの製作は一つづつ職人の手づくりです。オーダーメイドの非常に専門性の高い工事となるので、価格は高くなってしまうのです。全て既製品で済ませると安っぽく感じてしまうかもしれませんが、予算に限りがある場合は上手に利用するようにしましょう。
3-2 ストック計算
物販店は陳列商品だけではなく、ストックの商品量を計算しておくことも重要です。来店してもストックがなければ、販売することができなく機会損失となってしまうからです。
また物販店ではストック量を計算すると、予想以上に販売スペースがなくなることもありえます。そうするとそもそもその物件の広さが適切なのかどうかを考えなくてはいけないかもしれないわけです。
3-3 取り扱う商品の種類
物販店の内装をデザインする場合は、販売する商品の種類や量をあらかじめ考えなくてはなりません。同じアパレルであっても服と財布などの小物では、陳列する方法が全く違うからです。この販売する商品の種類や数を事前に決めておかなければ、商品量のバランスにも対応できませんし、一点一点の陳列方法を決めることができないのです。
4. 物販店の内装フロー
4-1 要件整理
物販店の内装を実際に依頼する前に、まずは要件整理をしていかなければなりません。どのような客層を想定しているのか、商品の見せ方や種類、量などあらかじめ用意しておくべき情報を揃えていきましょう。
4-2 デザイン設計会社の選定
揃えた情報を設計会社に依頼してデザイン提案を作成していきます。平面図やパースなどの資料をベースに、デザイナーと内容を詰めていきましょう。SCや百貨店の場合は規制が設けられていることが多いので、規制をしっかり守っているか注意が必要です。
4-3 施工会社の選定
おおよその図面が完成したら、次は施工会社を選定していきます。時間的に余裕があるのであれば、複数社から見積を取って価格の適正化を図るとよいでしょう。
5. 物販店の内装費用
物販店の内装は造作物に予算を割かなければ、他の業種と比較してもそこまで費用がかかるものではありません。坪40-60万くらいが一般的なようです。ただしジュエリーなどの高級品を扱う物販店の場合は、坪100万を超えるケースも多くあります。
6. まとめ
物販の店舗は他の業種と比べて費用があまりかからないため、工夫のしがいが多くあると言えます。魅力的な内装を作って他店と差別化を図っていきましょう。