原状回復工事とは|ビルの退去時にやることまとめ

賃貸借契約を結んでいるビルに入居しているテナントは、原則的に原状回復工事を行い元通りの状態にして返さなければなりません。原状回復工事は解体や修繕、工事区分などについてしっかりと理解しておかなければ、いざ退去が決まった際に対応することができません。ここで原状回復工事とはどのようなものなのか整理しておきましょう。

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1. 原状回復工事とは

賃貸借契約を結んでいるテナントは物件の契約が終了して退去する際に、物件を明け渡すだけではなく借りる前の状態に戻して返却しなければなりません。この物件を元の状態に戻すことを原状回復とよびます。まれに「原状復帰」と呼ばれることもあります。

2. 原状回復と混同されやすい言葉

2-1 原状復旧

原状復旧も原状回復と同様に広くは「建物を元通りに戻すこと」の意味で用いられます。しかし一般的に「原状回復」という言葉は、災害時にダメージを受けた建物を被害前の状態に戻す場合などのように災害時に使用する場合が多く、住宅や店舗を「借りる前の状態に戻す」という意味で使うのは不適切であるといえるかもしれません。

2-2 現状回復

「原状回復」と同様の内容であるにも関わらず、「現状回復」という漢字があてられている場合があります。これは単なる「原状回復」の誤用なので、間違えないように注意しましょう。

2-3 スケルトン工事

原状回復工事と同じような意味合いで、スケルトン工事と呼ばれることがあります。スケルトンとは建築物の構造体以外の部分を解体して、床や壁、天井、配管などの設備類を入居時の状態に戻すことで、店舗の場合はいわゆるコンクリート打ちっぱなしの状態であることが一般的です。

賃貸物件は原状(借りる前の状態)がスケルトンであることがほとんどで、その状態に戻すという意味で混同して利用する人が多いですが、実際には意味合いは異なります。またスケルトン工事は「スケルトン戻し」と呼ばれることも多いです。

3. 原状回復工事の内容

それでは原状回復工事とは具体的にどのようなものなのか見ていきましょう。工程は大きく「内装解体工事」と「修繕工事」に分類することができます。

3-1 内装解体工事

店舗を新規で出店したりオフィスを開設したりする際には、多くの場合に内装工事を行うでしょう。しかしその際に借り手側の都合で新たに設置した設備や看板・パーテーションなどの造作、備品といった不要なものは、テナントの退去時に撤去・解体しておかなければいけません。

3-2 修繕工事

賃貸借契約によっては原状がスケルトン戻しではなく、床・壁・天井を塗装し直したり、クロスを張替えたりと修繕工事を行わなくてはなりません。要求される原状は物件ごとに異なるので、オーナーと業者間での現場での確認や話し合いが必要となります。

3-3 廃棄物の撤去

原状回復工事では工事で排出された廃棄物の処理も含まれています。というのも工事に伴って排出される廃棄物は、原状回復工事を行う会社が処理することが義務付けられているからです。

4. 居抜き物件は要注意

居抜き物件を借りる際には注意が必要です。原状は前のテナントの設備や什器などが残った状態であるから、退去時に大規模な原状回復工事が必要ないと思ってしまうでしょう。しかし実際には居抜き物件を借りていたとしても、スケルトンの状態にして返さなければいけない場合がほとんどなのです。必ず物件を借りる前に契約情報を確認するようにしましょう。

5. 原状回復工事を依頼する際に気をつけたいビルの工事区分

ビルの工事の範囲は内容や工事箇所によって範囲が区分されており、「A工事」「B工事」「C工事」と呼ばれており、それぞれ費用負担と工事業者が異なります。ビルの工事区分は原状回復工事にも関わってくるため、しっかりと理解をしておくべきでしょう。

費用負担 工事業者
A工事 ビルオーナー ビル指定業者
B工事 入居者 ビル指定業者
C工事 入居者 入居者指定業者

つまり原状回復工事では、入居する際のB工事・C工事で設置した設備や造作を解体・撤去すればよいわけです。仮に共用部などのA工事の範囲までの工事を求められたら一度貸し方基準書を確認してみるとよいでしょう。

またビル指定業者の見積は市場原理が働いていないため、工事金額が高くなる傾向にあります。指定業者以外にも見積を取ってみて、比較して金額の交渉をしていきましょう。

6. 原状回復工事の依頼フロー

それでは実際の原状回復工事を依頼をする際のフローを順に確認していきましょう。

6-1 原状回復業者の選定

まずは実際に原状回復工事を行う業者を選定していきます。

業者を選ぶ際にポイントとなるのが、必要以上に激安を主張する業者には注意が必要ということです。

明らかに他社より安い場合は、欠陥工事を疑ったほうがよいです。工事には最低限必要な経費があり、それを超えて減額するということはどこかしらに歪みが生じている場合が多いのです。

6-2 現地調査

次に物件の現地調査を行っていきます。必ず物件の管理会社と原状回復業者を同席して、工事範囲や工事区分を確認していきましょう。工事範囲が明確でない場合は必要以上に解体してしまてしまい、工事金額が通常より高くなってしまう原因となるかもしれません。

6-3 見積依頼

原状回復工事の見積は2-3社で行うようにしましょう。市場原理で価格の適正化を図るのが目的です。

しかし見積を依頼する業者の数は増やしすぎないほうがよいです。スケジュールや見積をまとめる側の労力もかかりますし、原状回復工事業者は失注のリスクが高い仕事に対しては真剣に向き合ってくれないでしょう。

6-4 発注

原状回復業者から提出された見積書を比較して、自裁に依頼する会社を決定しましょう。支払い条件などの諸条件を詰めて契約書にサインすれば、正式に発注が完了です。

7. 原状回復工事の相場

やはり一番気になるのは、お金のことでしょう。原状回復工事にかかる費用は物件の大きさや工事内容、現調をして判明した物件の状態にによって異なるので一概に「◯◯円」ということは言えません。

原状回復工事の相場は解体工事からクリーンナップ・廃棄処分などを全て含めて業種全体では坪単価2万〜12万円と大きく幅があります。ただし前述しましたが、様々な条件によって金額は変化するので、実際に解体会社の方と相談して見積もりを取った上で進めましょう。簡単に業種ごとに分けると下記のような相場でまとめることができます。

 

 

業種 坪単価
飲食店 8〜12万円
アパレル・小売店 1.5〜4.5万円
オフィス 2〜5万円

8. まとめ

原状回復工事はすでにあるものを借りる前の状態に戻す工事ですから、店舗やオフィスを作るときに比べて金額のコントロールが難しいです。また同じ原状回復であっても坪単価は物件の状況によって大きく異なります。

原状回復の正しい知識を身につけるようにしましょう。

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